忘れる時間

マークレビンソンのアンプから赤いケーブル、その先にKEFのスピーカー
が繋がれている。
流れてくるのは、JIMI HENDRIX の 「Blues」 時に激しく、
それでいて優しい。柔らかなタッチとJIMIの息付かいまでリアル
に聞こえる。

樹は、シモンズのベッドに横たわっていた。楽しい夢をみていればいいが・・・
悪い夢はもう十分に見た。
 

「 Aが一番目じゃない。数えてみて。RとSは、18と19番目よ。
  Bこそが始まり、チャー坊はそう言いたかったんじゃないの。
  でもそれが何を意味するか、私には解らない。」
  

「 美優、それは色んな意味に取れる。ロックのルーツはBLUESだろ。
  もう一つは冨士夫が持っていたチップの色だ。BLUEだったよな。
  そして冨士夫はチャー坊から手帳を貰った。色はREDだ。」


「 ええ。彼は私達が思っている以上に手強い。でも敵でもない。
  いつもヒントを教えてくれる。もっと重要な何かがあると思う。」


「 俺は奴と会う事はもう二度とない。だが縁は切れないだろう。
  産まれた星が同じだからだ。考えてみろ。みんなに通じているのは誰だ?」


「 Dr-Kね。彼が一番知ってる。」

紗和が樹を見つめている。この赤ちゃんはおとなしい。声をあげるのは
母乳が欲しい時だけた。今もまた寝息をたてている。

不眠症の弾は、羨ましかった。
昼間は熟睡できる。約2時間。
だが夜は頭が冴えて眠れない。
もう何年間も睡眠薬を飲み続けている。
だが、眠りは浅い。小さな音で目が覚める。
カーテンも完全遮光。

寝具マニアだ。非常に詳しい。彼の生き方そのものだ。

弾にとって深夜徘徊は最重要任務。幸い仲間も徘徊している。
みんな暗闇が好きなのだろう。
自分の嫌な処を白日に晒さなくていい。

いつものようにダイヤルを回す。Dr-Kは、暗視カメラで確認済みなので
何もしない。これから重要な話が始まる。今夜が変り目になるだろう。

冨士夫は、奥の部屋で旅行中だ。今日の素材は何だろう。小麦粉かも知れない。

弾が問う。


「 冨士夫もいるか? 二人は置いてきた。何か解ったか?」

「 赤と黒というバンドがあります。またスタンダールというフランスの作家
  にも同じ題名の小説があります。一説には赤は軍人、黒は聖職者を
  現していると言われていますがあくまで推測でしかありません。
  はっきりしている事はREDとBLACKが鍵になっているという事です。」


「 TAKAだな。奴はいい。IGGY POPに繋がる。
  BLACKはさっきも美優とその話をしていた。始まりがBだ。
  それは黒の事じゃない。
  BLOODだ。BLOODの色はRED。R&Bだ。全てチャー坊は解っていた。
  レックの血液型、そしてそれが何を意味するか。」


「 事故の事は彼にも話しました。距離は離れていても、同じ地平に向かって
  いたのです。冨士夫さん、チコヒゲさん、チャー坊さん。それと僕の4人は
  知っていました。でも紗和さんの事は知らなかった。」


「 冨士夫を除く3人は紗和と過去に会っている。ロックの聖地
  CBGBでな。」


見えてきた。何故この時にみんなが集結したか・・・・
同じだ。チャー坊もなんとしてもあの子と紗和を救いたかった。


「 どうしてかわかりませんが、チャー坊はあの空間の構造を知っていました。
  そして何かを変えようとした。でも自分の力では不可能だとも認識していた。
  それで、紗和さんに賭けたんですね。」


「 おそらくそうだろう。奴は頭がいい。だがほんまもんの アホ だ。」

美優は黙って話を聞いていた。美優が言った。

「 赤ちゃんね。Babyよ。あの子に光が集まる。」

「 明るいか・・・俺はちょっと苦手だなぁ。」

「 それはあなたの偏見。昼寝ばかりするからよ。夜の睡眠によくないわ。」

「 昼寝は最高の快楽だ。それは止めれない。俺に指示するな。
 今夜は無性に遊びたい。 Dr-K,何処か行かないか?」


「 ルイズルイスさんのスタジオに行きましょう。美優さんピアノ弾けますよね。
  ドラムは、弾さん御願いします。奥の部屋にトラベラーがいるんでこの世に
  呼び戻して来ます。誰かが倒れる迄セッションしましょう。
  レコーディングしてもいい。」


「 ヘイ!ホー、レッツ、ゴー!!。」 by RAMONS

たまにはいいよなぁ~~こんな夜があっても・・・・                              

 忘れる時間
  

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