全ての壁を越えた友・・・・

「 やぁ~元気やった?? ちょっと痩せたん?」

「 はい、みんなに言われます。」

半年の研修を終えて帰国。

取引先の担当では在りますが、友人と呼べる間柄です。

「 何か、半年とは思えんなぁ~ もっと永い間会うてない気がする。」

「 僕も同じです。」

話が弾みます。とてもいい時間です。しかし彼には事情が在りました。

今月の25日には、また機上の人となりシンガポールへ向けて旅立つのです。

「 K氏、何でそうなったん? 向こうで何するのん?」


「 いや~僕の知らないうちに決まっていました。
  あちらでの業務は、未定です。」


「 帰って来たと思たらまた転勤?? まぁしゃぁないなぁ~」

「 そうなんです。逃げ道はありませ~~ん状態です。」

僕と彼、知り合ってから2年チョイでしょう。

歳は20才以上離れています。

しかしそんな事は、全く関係ない。永年の友のようです。

彼が、研修に行っていた街の人口は3000人です。

夜8時には、全てのお店が閉まってしまいます。

何もする事が、なーーーーーーーーーい。

携帯も繋がらない状態・・・

生活の状況を逐次、生存レポートとして度々送って来てくれました。

その文章からは、退屈だーーーーーーーと言う声が聴こえて来ます

僕は、Ipodに曲を入れ、数冊の本を送りました。

Ipodの内容には少し迷いましたが、独断でいいと想う曲を選択します。

「 Bob Marleyいいです。何かグっときました。」

「 ちょっとそれ貸して。曲増やすわ~」

今回は、研修ではありません。本格的な赴任、最低2年は会えないでしょう。

「 ほな、食事行こう~」

「 奥様、色々御世話になりました。本当に感謝しています。」


「 私の方こそです。身体に御気を付け下さい。Kさんなら大丈夫です!!」


いい光景でした。新たな世界へ旅立つ若者への良きエールです。

言葉が沢山いる訳では在りません。

K氏は、聡明です。彼女の真意を理解してくれていました。

車に乗り込んで出発です。僕はバック・ミラーを見ていました。

僕らが見えなくなるまで彼女は、見送ってくれています。

心の中で呟きました。

「 ありがとう・・・」

食事は、海鮮です。フルに注文。そのお店は、いつも満員。

予約は必須です。 

僕らはカウンターで食事し、飲み様々なお話しをしました。

いつ来ても美味しい。安い。喧しい。そんなお店です。

「 もうお腹いっぱい~いつもの処行こう~」


「 行きましょう!!」


今夜は、歓迎会&送別会になっていました。

トコトン行くぜーーーーーーーーーーー僕は決意しています。

車での移動は。約20分。渋滞はありません。

「 こんばんは~ママ、K氏帰ってきたよ~」


「 いらっしゃい~ うん、凄く元気そうやん。」


「 はい。ただ滞在時間が短いもので・・・」


彼のマンションは、かなりの距離が在ります。

そんな中わざわざ来てくれた。

こんなに嬉しい事は滅多に在りません。

3人で話し込みます。その内容は多岐に渡りしゃべり出したら止まりません。

いつものカラオケを歌う処ではない状況です。

お店に着いたのが9時過ぎだったと思われます。

何時か解りませんが、いきなり強い眠気に襲われます。

K氏とママが、話しをしています。

その内容が、把握しにくくなってきました。



「 何か、おかしい???」


いきなりです。強烈な痛みにお腹が襲われます。

冷や汗と痛みで動けません。

「 ママ、トイレ行ってくる。」

立つのがやっとです。わずか3M隣のトイレに行くのに息が苦しい・・・

腰を掛けました。吐き気も押し寄せます。

食中毒だぁーーーーーーーーーーーーーーーーー

10~15分は座っていました。

携帯で自宅にレスキューを要請します。

「 痛い。すぐに来て。」

「 え~~~どないしたん、何食べたん?」

「 海老に牡蠣・・・・お刺身・・・」

「 牡蠣?? アホーーーーーーーーーーーこんな時期に食べるもんちゃう!!」

「 そんなん、どうでもええからはよ来て。」


何とか立ち上がり席に戻ります。ところが中々許してくれません。

またまたとんでもない腹痛!!!!!!!!!

僕は無言でトイレに駆け込みました。

一刻も早く横になりた~~~~~~~い。しかしそれは叶いません。

やっと、嫁さんが到着します。

「 どんなん? いけるん?」

「 行けへん・・・うぅぅぅーーーー 」

ふと安心したのでしょう。今度は上からゴジラです。

何でこのタイミングなん???

自分に悔しさがつのります。

しかし身体には容赦の無い痛みが走り回っていました。

僕はうつむいて我慢する事しか出来ません。

K氏に挨拶をしたい。お礼を言いたい。しかし今立ち上がれば倒れてしまう・・・

扉の向こうで会話が聴こえました。

「 ママ、取りあえずKさんを駅まで送ってくるわ。」

「 うん、そうして。」

「 社長、大丈夫でしょうか?」

「 私が見とくから、また来てな~」


悔しい。しかし痛い。気分は最悪です。

二人が店から出ていました。

もうどれ位こうしているのか??

時間さえ解りません。

ようやく少しマシになってきました。

カウンターにうつ伏せになって痛みを堪えています。

嫁さんが、戻って来ました。

「 K氏に申し訳ない・・・」

「 なんで牡蠣なんか食べるん。アホちゃうの。
  アンタで良かったわ~K氏やったら大変よ~」


「 うう。」

唸る事しか出来ない。早く帰りたーーーーーーーい。

それしか考えられません。

「 アンタ、運転できる??」

そんな事出来るはずが無――――――――――い。

それなら呼ばなーーーーーーーーーーーーーーい。

丁度その時です。タクシーがお店の前に停車しました。

御客さんです。ママが言いました。

「 はよ~あのタクシーに乗って、帰り~」


僕はヨレヨレ、倒れ込むようにして乗り込みました。

その夜は朝までうなっていました。

しかし仕事は休めません。

重要事項を優先して処理しました。

そして落ち着いた処でK氏に連絡をします。

「 おはよう~昨日は、ゴメンなぁ~あんな事になってしもて・・・」

「 いや~それより身体大丈夫ですか?」

「 うん、かなりマシ。K氏にお礼言いたかった。」

「 そんなのいいですよ~僕の方こそありがとうございました。
  落ち着いたらまたレポート送りますね~」


「 うん。待ってる。身体に気を付けてな。」

「 はい。また連絡します。」


とても嬉しい言葉でした。その声を聴いて力が湧き出て来ます。

K氏。君とは色んな話しをした。何でも語り合える。

全ての壁を超えた友よ・・・・


また会える日を待っています。

彼にこの歌を捧げます。

           by Yasiki 


http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=LJbIAyyAsOc

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